旦那・奉公人たちのオススメ書籍

評論

「おじさんはなぜ時代小説が好きか」関川夏央
「おじさんはなぜ時代小説が好きか」関川夏央

岩波書店定価:¥1700

旦那寸評

この本を一読すると、なぜ私は「時代小説」が好きなのか?改めて納得してしまいました。山本周五郎や吉川栄治、司馬遼太郎、藤沢周平らの大御所とその代表作を取り上げながら、「時代小説」と「時代小説作家」の本質をわかりやすく解説した名著です。とりわけ作品が書かれた時代の雰囲気や影響を受けた(と思われる)他者の作品群にまで踏み込み、幅広い視点から論じていますので、その作品(作家)の背景を理解する一つの推理読み物としても秀逸で面白い内容です。「時代小説」好きの方は、より読書を楽しむためにもご一読を。

時代小説

「口入屋用心棒 手向けの花」鈴木英治
「異戦 信長記(全2巻)」中里融司

学研定価:¥900

女将寸評

タイトルに“信長”とあるのですが、1巻に関しては、敵対する朝倉家の老将・朝倉宗滴が主役の小説です。「犬と言え、畜生と言え、勝ってこその武士」の格言を残したこの戦国屈指の老将が、『浅井・朝倉連合軍を率いて魔王・信長を姉川に迎え撃つ!』と、かっこよく終わらせたいのですが、朝倉軍のヘタレっぷりに、たびたび宗滴の一喝が飛ぶご愛嬌もあり。敵・味方ともに好印象を持たせて不快感なく読めるのも、お勧めできる理由のひとつです。

「口入屋用心棒 手向けの花」鈴木英治
「口入屋用心棒 手向けの花」鈴木英治

双葉文庫定価:¥690

女将寸評

最近、ファンが着実に増えている鈴木先生。書き下ろしシリーズの第8弾です。今回も湯瀬直之進の剣が冴え渡ります。いつも“にやけている”殺し屋・周蔵が憎い。それは直之進だけではなく、中西道場一門も同じ。ビシビシと進む展開にハラハラしっぱなしでした。
まだこのシリーズは終わりが見えません。どんでん返しが必ずあると思われます。

「耳袋秘帖 谷中黒猫殺人事件」風野真知雄
「耳袋秘帖 谷中黒猫殺人事件」風野真知雄

だいわ文庫定価:¥680

女将寸評

人気の“耳袋秘帖”シリーズ、第五作目。 主人公は、南町奉行・根岸備前。実は根岸は、62歳で南町奉行になった、おじいちゃんなのです。といいつつ、若い頃は“ワル”だったらしく、赤鬼の刺青があるらしい。そんな奉行が、難解な事件を解決するお話です。
今作は、黒猫数十匹を飼っている家で、美人姉妹の妹が殺される事件がメインです。ところが複数の事件が絡み合って・・・というのは、風野先生お得意のパターン。一気にラストまで読ませる筆力も流石です。読み終えて、爽やかな疲労感が感じられる作品です。
2時間ドラマみたいなタイトルと思わず、ぜひご一読を。

「尻啖え孫市」司馬遼太郎
「尻啖え孫市」司馬遼太郎

講談社文庫定価:¥979

大旦那寸評

ゲームキャラで人気急上昇の鉄砲打ち、雑賀孫市。紀州雑賀衆の盟主として織田信長に敵対していきます。無類の女好きで、前田慶次に比肩しうる戦国時代の傾奇者です。あまりにも陽気で賑やかな生き様は、オトコとして羨ましいほど。肩の凝らない司馬文学の楽しい読み物です。人生いろいろのストレスがたまったら、爽快な本作をお読み下さい。すっきりします。

「新装版 天璋院篤姫(上)(下)」宮尾 登美子
「新装版 天璋院篤姫(上)(下)」宮尾 登美子

講談社文庫定価:各¥700

大旦那寸評

存知、来年のNHK大河ドラマの原作本です。島津分家の篤姫は幕末の政略の道具として、藩主斉彬の養女となり13代将軍家定の正室として江戸へ送りこまれ、大奥3千人に君臨する御台所として活躍をします。話題の映画「大奥」にも繋がる内容で、将軍家の内幕と女の情念や派閥争いがよく分かります。
あな恐ろしや。ドラマ「風林火山」を楽しんでいる方も時代を先取りしてご一読を。

「しゃばけ」畠中 恵
「しゃばけ」畠中 恵

新潮文庫定価:¥540

奉公人寸評

舞台は江戸で指折りの廻船問屋長崎屋。主人公はそこの1人息子・一太郎。彼の周りにはなぜか、アヤカシで溢れている。店の手代には大物妖怪の犬神・白沢、部屋の隅には屏風のぞき、家の隅々をこそこそ動き回る鳴家。あくる夜、一太郎は『ある目的』で一人歩きに出る。その帰り道で殺人事件の現場に出くわす。そこから一太郎の周りで起きる奇妙な同時多発的猟奇的事件。 アヤカシと人間が共生する不思議空間・江戸の雰囲気も楽しめるし、1人の人間の成長も楽しめる。やはりファンタジノベル大賞の優秀作は伊達ではない、ということか。オススメの一冊。

しゃばけ倶楽部 バーチャル長崎屋(新潮社公式サイト)http://www.shinchosha.co.jp/shabake

「新撰組藤堂平助」秋山香乃
「新撰組藤堂平助」秋山香乃

文芸社定価:¥2100

手代寸評

新撰組八番隊組長、藤堂平助の試衛館時代〜油小路までの生涯を書いた物語です。秋山先生のあとがきにも記載されているのですが。藤堂は池田屋以降、新撰組から分離し御陵衛士として短い生涯を終えてしまっているので、かの近藤や土方そして沖田程の知名度はありません。だからこそ、この本の藤堂平助という人物に注目して頂きたいです。若さゆえに曲げられなかった想い。裏切りへの後悔。そんな中でも土方歳三という人間を最後まで慕い、尊敬し散ったその姿には涙さえ浮かびます。

「黄金の華」火坂雅志
「黄金の華」火坂雅志

日本放送出版協会定価:¥800

旦那寸評

この作品は小判づくりから始まって米の投機に金座・銀座の設立、佐渡金山、諸外国との通商に至るまで、巻頭から巻末までこれ全編「お金・お金・お金」の話でとっても心が温まる物語です。という内容とは勿論違いまして、中世から近世にかけての経済の流れ、つまり米経済から貨幣経済への移行期に活躍した後藤庄三郎の波乱の生涯を描いた歴史小説です。戦国モノが得意な著者ですので、マイナー武将の藤堂高虎を描いた「虎の城」もお薦めです。ぜひ火坂雅志の作品をお試しあれ。

「傭兵ピエール」佐藤賢一
「傭兵ピエール」佐藤賢一

集英社文庫定価:¥740(上巻)、¥680(下巻)

丁稚寸評

舞台は英仏百年戦争下のフランス。主人公のピエールはフランス王に仕える若き傭兵隊長です。傭兵ですので本来は愛国心というより「報酬(略奪含む)」が大事ですが、救国の英雄であるジャンヌ・ダルクと出会ってからは、憎きイギリスをフランスから追っ払うため、オルレアンの戦いをはじめ、共に行動します。このピエールがまた、女にだらしないテキトーな男ですが、情に厚くなかなか憎めないナイスガイで時たま見せる戦場での活躍ぶりには心が躍ります。また、塩野七生の「ローマ人の物語」をお読みの方には、古代ローマのカエサル(シーザー)と対立した蛮族の長を描いた作品の「カエサルを撃て」もお薦めです。ヨーロッパの歴史小説をこれだけ縦横無尽に書ける佐藤賢一は今後も一押しです。

歴史雑誌

歴史街道
歴史街道

毎月6日発売 PHP研究所定価:¥600

旦那寸評

写真やイラストをふんだんに使用する「街道」はその名の通り、名所旧跡の特集も多く、歴史好き+旅行好きの方にうってつけ!の雑誌です。また、テーマが多岐にわたり、「へ〜」という会話に役立つ薀蓄が多いのもビジネスマンに好まれる理由の一つなのでしょう。

歴史群像
歴史群像

隔月6日発売(奇数月) 学習研究所定価:¥930

丁稚寸評

戦史をメインにしながら、ドラマチックに歴史を楽しむビジュアル歴史雑誌です。戦略・戦術・戦史・兵器を中心に、日本史から東洋史、西洋史まで幅広いジャンルで古代から現代まで扱っています。軍事マニアや兵器オタクにはたまらない「群像」ですが、時代屋でもド迫力の戦艦大和や軍人フィギュア等々を販売しますのでお楽しみに!

歴史読本
歴史読本

毎月24日発売 新人物往来社定価:¥1,090

丁稚寸評

通巻700号を超える「読本」は毎号、歴史的事件・人物にあらゆる角度からスポットをあてる特集形式をとり、図版や写真を多用しながら歴史に親しみつつ、歴史に学ぶ場となっています。最近巷では女性天皇、女系天皇をめぐる天皇制論議が活発になっておりますが、時代屋でも皇室関連の特集をしたバックナンバーや別冊シリーズを取り揃えておりますので、ぜひご一読を。

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